原題:Ozark
作品データ
- ジャンル:犯罪スリラー
- シーズン:4(完結)
- エピソード:44
- 主な舞台:ミズーリ州オザーク
- アメリカでの放送:2017~22
- キャスト:ジェイソン・ベイトマン(マーティ・バード)ローラ・リニー(ウェンディ・バード)ジュリア・ガーナー(ルース・ラングモア)
- メモ:最終話まで視聴済
- 評価:
あらすじ
シカゴで財務アドバイザー会社を営むマーティとブルースは、メキシコ麻薬カルテルの資金洗浄をしている。家族に反発されながらも地味で堅実な生活を送るマーティに対し、独身のブルースは派手な生活を楽しんでいた。ブルースに「同じ報酬なのに」と呆れられながらも、生活を変えるつもりのなかったマーティと家族の人生が一変する事件が起きる。ブルースがカルテルの金の一部を盗んでいたのだ。
金を盗んだブルースと運び屋だけでなく、無関係のブルースの恋人も殺したカルテルのデルは、窃盗に関与していないマーティも消そうとする。窮地に立たされたマーティは、ブルースから聞いたミズーリ州南部にあるリゾート地“オザーク湖”について語りはじめる。「司法の目が届かないオザークに拠点を移し、5年で5億ドル洗浄する」というマーティの計画に興味を持ったデルはチャンスを与え、マーティ一家はオザークへ移住することになる。
おちゃのま感想
『オザークへようこそ』の見どころは、なんと言っても、丁寧に描かれた登場人物たちでした。物語の中心であるバード家の4人やルースといったメインの人物はもちろんのこと、サブキャラたちにも手を抜かず、その人の背景や思惑がセリフではなく雰囲気から感じ取れる描き方は秀逸でした。
そのオザークの住人の中で、マーティの弟子的存在からのしあがってゆくルースは、このドラマの肝のような存在でした。“呪われた”ラングモア家の一員であるルースは家業のような犯罪に手を染めることも厭わない人ですが、なぜか応援したくなる愛すべきキャラでした。その理由は、ルースを演じたジュリア・ガーナーが放つピュアな個性だったと思います。ジュリア・ガーナーが魂を吹き込んだルースは、荒っぽい気性の底にある彼女の優しさや哀しみがにじみ出ており、本当に素晴らしかったです。
さて、ルースを語るならウェンディも語らねば、です。最初は(シーズン1の頃)倹約家の夫に辟易している中年の危機的状態の妻かと思ってたウェンディでしたが、その本性は功名心が強い野心家。シーズン3で登場するウェンディの弟ベンは、バード家をさらなる試練に導く重要なキャラでした。ベン登場で、家族的な絆が生まれていたルースとの関係も悪化し、野心のまま暴走するウェンディが家族を守りたいマーティの障害のような存在になってゆきました。激しい炎のようなウェンディの心の中は想像もできませんが、家族を愛する気持ちは本物でよかった・・・。
そして、もうひとり、オザークで忘れてはならない女性、ダーリーン。オザークの影の権力者と言えるダーリーンのナルシシストぶりはすごかったです。感情のまま人を殺すようなダーリーンですが、彼女なりの言い分や愛情があり、共感はできないけれど深い人物でした。
こうして振り返ると、このドラマは女性にスポットを当てたものだったんだなと感じます。麻薬カルテルの資金洗浄屋をテーマにしながら、記憶に残る女性キャラが多かった点も『オザークへようこそ』の特徴かもしれません。
スピンオフの計画は否定してない(制作するかも)らしいのですが、いかんせん、殺しすぎました。ルース主演のスピンオフなら、オザークファンは大歓迎だと思うのですが、それも叶いません。過去のオザークを描くなら、ダーリーンでしょうかね。
悪魔の誘いに応じたら最後、その地獄から逃れる術はないという隠れテーマを感じたドラマでした。壮絶だった物語の余韻に浸りながら、感想を終わりにします。