原題：The Umbrella Academy
作品データ
- ジャンル：SF
- シーズン：1（継続中）
- エピソード：10
- 主な舞台：架空
- アメリカでの放送：2019-
- キャスト：エリオット・ペイジ（7号：ヴァーニャ）、トム・ホッパー（1号：ルーサー）、デヴィッド・カスタニェダ（2号：ディエゴ）、エミー・レイバー・ランプマン（3号：アリソン）、ロバート・シーハン（4号：クラウス）、エイダン・ギャラガー（5号：ナンバーファイブ）、ジャスティン・H・ミン（6号：ベン）
- メモ：シーズン1まで視聴済
ストーリー
1989年10月1日午後12時。その日の朝まで妊娠していなかった女性から、世界各地で43人の子供が生まれた。特別なその子供たちのうち、7人を養子に迎えた奇人の資産家R・ハーグリーブズ卿は番号をつけた子供たちを研究し、『アンブレラ・アカデミー』を設立する。それぞれに備わった特殊な能力を生かし、街のヒーローとして活躍する『アンブレラ・アカデミー』の子供たちは一躍人気者になる。
特別な能力のない普通の子供だった7番ことヴァーニャは『アンブレラ・アカデミー』のメンバーになれず、常に孤独を抱えていた。バイオリンの練習に励みながら、『アンブレラ・アカデミー』の暴露本を出版したヴァーニャは、さらに兄弟たちとの溝を深めることになる。
5号（ナンバーファイブ）が姿を消し、6号のベンが亡くなり、成長した兄弟たちは自分の人生を歩き始める。養父のハーグリーブズ卿が亡くなったことで、久しぶりに実家に集まった兄弟たちの前に、約17年間行方不明だったナンバーファイブが当時のままの姿で戻ってきた。父の警告を無視し、未来へ移動したナンバーファイブは元の時代に戻れなくなり、45年間を過ごしていたのだ。ナンバーファイブは「8日後、世界が滅びる」と、唯一信頼できる“普通の人”ヴァーニャに打ち明けた。
おちゃのま感想
コミック原作のドラマで、予告編の知識のみで視聴しました。世界観も知らず見始めたのですが、ハマりました！第1話の冒頭、ヴァーニャが奏でる“オペラ座の怪人”のバイオリンの音色とともにざっくりと紹介される物語の背景と登場人物のシーンで、ガッチリ心をわしづかみにされました。
「特殊な能力を持つ兄弟たちの物語」と聞くと、スーパーヒーローが悪を倒す内容かと思ってしまいますが、『アンブレラ・アカデミー』は人生ままならないハーグリーブズ家の子供たちが抱える問題や彼らの絆に重点を置いたドラマです。一世を風靡したかつてのヒーローたちの現在の状況を軸に、いくつかのストーリーがからまる、謎あり、冒険ありの人間ドラマだと感じてます。
“普通の人”として育てられ、疎外感と孤独さから『アンブレラ・アカデミー』の暴露本を書き、孤立した人生を送っている7号ことヴァーニャを中心に物語は進みます。このヴァーニャの秘密に迫りながらバラバラだった兄弟たちが団結してゆく展開は、「こうなるんだろうな～」という想像を裏切りながらも期待は裏切らず、ワクワクさせる素晴らしいストーリーになってます。
17年ぶりに戻ってきた5号ことナンバーファイブが未来で見た地球滅亡を阻止するという大きなテーマと、サイドストーリーのように思えていたヴァーニャの物語がからみ、彼らの父ハーグリーブズ卿の死の真相が解き明かされるとともに、物語はクライマックスへ。重大なネタバレになりますが、地球を滅亡させたのはこれまで封印されていたヴァーニャの特殊な能力が原因でした。ヴァーニャの持つ能力の恐ろしさを見越したハーグリーブズ卿は薬で能力を封印し、ヴァーニャを普通の人として育てたのです。そして、『アンブレラ・アカデミー』の兄弟たちを再び結集させるため、自ら死を選んだのでした。
お気に入りのポイントは兄弟たちの人間関係と、シーンを盛り上げる音楽です。『アンブレラ・アカデミー』の子供たちは同じ日に生まれたという設定ですが、ハーグリーブズ卿が彼らにつけた番号通り、兄弟たちには序列があります。1号のルーサーは長男らしく保護者的意識が強く、長女のアリソンがヴァーニャを心配する姿は姉そのもの。
そんな兄弟たちの中で、ひときわ大きな存在感を発揮するナンバーファイブが印象的でした。姿は少年のナンバーファイブですが、崩壊した未来で45年近くも生きてきた人。生意気で傍若無人な態度と、長年の孤独を思わせる哀愁漂う演技は素晴らしかったです。そして、音楽！脚本も演出も素晴らしかったけど、音楽のセンスは私の波長とバッチリでした。
かなり満足度の高い『アンブレラ・アカデミー』は、すでにシーズン2への更新が決まってます。地球が崩壊し、ナンバーファイブの能力で過去へ戻った兄弟たちがどんな方法で地球滅亡を阻止するのか、非常に楽しみです。