原題:Travelers
作品データ
- ジャンル:SFミステリ
- シーズン:3(終了)
- エピソード:34
- 主な舞台:そこはかとなくカナダっぽいけれどアメリカの街
- アメリカでの放送:2016-18
- キャスト:エリック・マコーマック(マクラーレン)マッケンジー・ポーター(マーシー)ネスタ・クーパー(カーリー)ジャレッド・アブラハムソン(卜レバー)ライリー・ドルマン(フィリップ)パトリック・ギルモア(デビッド)
- メモ:最終話まで視聴済
- お気に入り度:
あらすじ
数百年後の人類滅亡が迫る未来。歴史を変えることで人類滅亡を阻止する目的で、ディレクターと呼ばれるAIの管理下で5人組のチーム(トラベラー)が滅亡への分岐点となる21世紀へ送られる。
ネットにある個人情報をもとにディレクターが選んだ死亡する人間(ホスト)の体に意識を転送されたトラベラーはホストの人生を引き継ぐことになるが、それは予想していたよりも困難なことだった。
謎の暗号(トラベラーたちの通信)を捜査していたFBI捜査官マクラーレンの体に転送された3468(トラベラーの名前)をリーダーにしたチームは、それぞれ問題あるホストが選ばれたことに困惑する。戦術家の3465はDV警官の息子の父親(ホストが死んだ原因)につきまとわれるシングルマザーのカーリー。歴史家の3326は薬物依存のフィリップ。史上最年長の人間でエンジニアの0115は、問題ある高校生卜レバー。そして、医療担当の3569は知的障害者のマーシーだった。
おちゃのま感想
日常とかけ離れたSFドラマを見たいなと思って選んだドラマ『トラベラーズ』。派手さはないけど期待を裏切らない面白さで、トラベラーたちが歴史を変えようとする事例が現実社会で起きている問題と重なり、いままさに人類は岐路に立っているという危機感をも抱かせる重いテーマを含んだ作品でした。
まず良かった点は、タイムトラベルにおけるルールがしっかり決められており、そもそもの根底がブレなかったところです。ルールはタイムトラベル作品の要ですよね。『未来人が過去の歴史を変えることで人類滅亡を阻止する』というテーマはありがちなものですが、『未来人の意識を過去の人に転送する』というアイデアは斬新でした。さらに、単なるSFではなくホストの人生そのものを引き継ぐトラベラーたちの人間ドラマにも焦点を当てたところが素晴らしかったと思います。
任務とひとりの人間としての人生の間で惑うことになるチームの中で、おそらくわたしだけでなく視聴者の心をつかんだキャラは、医療担当のマーシーと、(ホストの)マーシーのソーシャルワーカーだったデビッドなのではないかと思います。特に、トラベラーではない普通の人デビッドは、暗いテーマの中に灯る希望の光のような存在で、ドラマになくてはならないキャラでした。サブキャラとして登場する不遜な態度が鼻につくグレース(プログラマー)もドラマのスパイス役として、なかなか良い味だして頑張ってくれました。
マクラーレンのチームが行った任務は最終話ですべてリセットされるわけですが、リセット後の世界でマーシーとデビッドの出会いのシーンを見せてくれたのはファンサービスのようでした。マーシーとデビッドはどんな形にしても出会う運命だったんですよね。そんなふたりのラストシーンに心をときめかせる一方で、他のみんなはどうなったんだろう?と気になります。特に、息子の父親ジェフの暴力で死ぬことになっているカーリーについては心配が残った形になってしまいました。
シーズン3の後にキャンセルされたとのことなので、もしかしたらこの先の構想もあったのかもしれませんが、続いていたとしたら(ストーリー上)別のチーム(新キャスト)でとなると思うので、ここでの終了は妥当な判断だったのかなと納得しています。ミッション失敗で終わるのでスッキリ感はありませんが、それでも面白かったと言えるドラマでした。