原題:The Outsider
作品データ
- ジャンル:ミステリホラー
- シーズン:1(未定)
- エピソード:10
- 主な舞台:ジョージア州
- アメリカでの放送:2020~
- キャスト:ベン・メンデルゾーン(ラルフ)、シンシア・エリヴォ(ホリー)
- メモ:シーズン1まで視聴済
ストーリー
スティーヴン・キング原作のドラマ。
ジョージア州の小さな町の森で惨殺された少年の遺体が発見され、目撃証言や現場に残された証拠から、教師で少年野球コーチのテリー・メイトランドが容疑者として特定される。がんで亡くなった息子がテリーの野球チームにいた刑事ラルフは私情をはさまずにはいられず、大勢が観戦する野球の試合中にテリーを逮捕した。
無実を訴えるテリーの弁護を引き受けたハワードは、聴取もせず逮捕したことに驚きを隠せない。疑いようのない物的証拠と目撃証言を握る検察は有罪を確信するが、テリーが主張するアリバイを裏付ける証拠が見つかる。事件の日、現場付近で目撃され、町にある複数の防犯カメラに姿を捉えられているテリーは、100キロ離れた場所で開かれた国語教師の会議に同僚たちと出席していたのだ。
おちゃのま感想
ネタバレしてます!
冒頭の少年殺人事件の捜査の行方を期待すると、中盤以降の超自然的な展開に戸惑いそうな内容ですが、個人的にはキング作品の中でも好きな部類に入るドラマです。
設定となる小さな町、キャスティングの妙、起承転結のある脚本。と、お気に入りポイントの多い作品でした。そんな中でも「ここがよかった!」と思うツボをあげてみたいと思います。
わたしのツボ【その1】は、サイドストーリーとして描かれる少年殺人事件の容疑者として逮捕されたテリーの妻グローリーと、テリーを逮捕し事件を追う刑事ラルフの妻ジーニーの、事件で変化した関係と、ふたりの内面の葛藤です。突然、理不尽な状況に陥り、やり場のない怒りを抱えるグローリーと、一歩引いた場所から冷静に物事を見つめるジーニーの存在は、空想の物語に現実味を与え、地に足がついたドラマに仕上げる役目を担っていました。
ツボ【その2】は、少年殺人事件を担当する刑事ラルフのもとに集結した、正義感あふれる仲間たち。立場は違えど、放置できない邪悪な存在に立ち向かう彼らの気持ちの強さと潔い正義感は、陰鬱な内容の物語の中で心躍るポイントです。特に、まったくの部外者ながら、ホリーのもとに駆け付けた元刑事アンディの男気には熱いものがこみあげました。
そしてツボ【その3】は、なんといっても、真相に迫る探偵ホリーの存在感です。ホリー・ギブニーという探偵は、『ミスター・メルセデス』に登場するホリーと同一人物ですが、インサイドストーリーで語られた内容によると、このドラマでは別人として描いているそうです。子供ころの精神科での辛い経験や、正義感や使命感など、人としての本質は同じものを感じますが、こちらのホリーは生まれつき持っている不思議な能力について、具体的に描かれています。
演じるシンシア・エリボ(Cynthia Erivo)の“ホリー”表現が、また素晴らしくて、呼吸を忘れたかのように喋る姿や、他人との距離感、間の取り方、無表情のように見えてそうではないところ。すべてが印象的で、超自然な世界へ引き込む演技で物語をけん引しています。
ラルフたちに雇われた探偵ホリーが事件の真相に迫るとともに、ホラーの側面が浮き彫りになり、クライマックスは、文字通り、命を懸けた戦いが待っています。事件の真相は、“エル・クーコ”と呼ばれる伝承の亡者が、犯人と特定されたテリーたち(ホリーの調査で他にも被害者が見つかる)に“変身”し、好物の子供を襲っていたというものでした。
『伝承される実体を持つお化け的なものが子供をさらい、食べていた!』という、文章で読むと興味をなくすような衝撃の事実が明かされるわけなんですが、このドラマの素晴らしい点は、決着をつけて終わってるところです。こういうお話って、導入や結末はぼかし、視聴者の想像任せにするケースも多いと思うんですが、次へ視線が向くようなラストが用意されていました。
とはいえ、この記事を書いている段階では、更新の発表されておりません。原作を読んでないので、そちらとの兼ね合いもわかりませんが、希望としてはホリーを軸にした不思議な事件の物語を見たいと思っています。