原題:iZombie
作品データ
- ジャンル:犯罪捜査コメディ
- シーズン:5(終了)
- エピソード:71
- 主な舞台:シアトル
- アメリカでの放送:2015~19
- キャスト:ローズ・マクアイヴァー(リヴ)、マルコム・グッドウィン(クライヴ)、ラウール・コーリ(ラヴィ)、ロバート・バックリー(メイジャー)
- メモ:最終話まで視聴済
ストーリー
念願の外科医になり、愛するメイジャーとの結婚を控え、人生順風満帆のリヴは、息抜きに参加した船上パーティーで惨状に巻き込まれ、ゾンビになった。
遺体袋の中から復活したリヴは脳を食べたい欲求にかられ、ゾンビの本性を知る。リヴの秘密を知らない周囲は心配するが、リヴは大切な人を傷つけないように、婚約を破棄し、家族や親友とも距離を置き、職場を去った。
ゾンビとして第2の人生を生きることになったリヴは、新しい職場に脳が手に入る検視局を選ぶ。ゾンビのリヴに偏見を持たず、治療薬開発を約束した上司のラヴィに支えられ、リヴは刑事クライヴの相棒として、捜査を手伝うようになる。ゾンビが人間らしさを保つには、“人間の脳”を食べる必要があり、リヴは事件の被害者の脳を食べることで、ゾンビの特殊能力を捜査に役立てているのだ。リヴを霊能者だと信じているクライヴは、たびたび人格が変わるリヴをフォローし、二人の間には信頼が生まれ、リヴはゾンビとしての存在意義を事件解決に求めるようになる。
おちゃのま感想
ネタバレしてます!
『被害者の脳を食べるゾンビ検視官が事件解決!』という冗談のような設定で、ビジュアル的にも手が出ないドラマでしたが、大正解!ハマりました~。これ、わたしの好きなヤツでした。
『被害者の脳を食べるゾンビ検視官が事件解決!』という冗談のような設定で、ビジュアル的にも手が出ないドラマでしたが、大正解!ハマりました~。これ、わたしの好きなヤツでした。
ぐんぐんと見進めて、5シーズン、全71話。飽きることなく、ラストまで突っ走った感じです。基本は1話ごと解決する殺人事件の捜査もので、シーズンごとの敵との戦い、ゾンビ問題&治療薬というテーマが描かれています。ドラマの核となるテーマは、ひっかき傷ひとつであっけなくゾンビになったリヴの存在意義を探し求める物語でした。
このドラマのゾンビの設定は、人間の脳さえ食べていれば、人間らしさ(本来の自分)を保っていられるというところ。脳を食べないと本物のゾンビになり、そうなるともう元には戻れません。検視官に転職したリヴは食事に困りませんが、一般ゾンビは違います。そんなわけで、シリーズを通じてゾンビ的な食糧問題(脳をどうやって手に入れるか)が描かれています。
ソンビが“脳”を食べるドラマ・・・なんて聞くと、気持ちが萎えそうになりますが、リヴの簡単クッキングなどで、ゾンビといえど人間らしく演出してるので大丈夫。サイドストーリーを盛り上げる悪役(時に味方にもなる)のブレイン(リヴをゾンビにした張本人)に至っては、腕利きのシェフを雇ったりして脳ビジネスでがっぽりしてます。
さて、気持ちが引きそうになる部分の説明はこれくらいにして、この『脳を食べる』ことの副作用である『脳の持ち主の生前の人格やスキルを受け継ぐ』点がこのドラマの重要なポイントです。被害者の脳を食べてるリヴは、ある意味、被害者の声を聴きながら、クライヴの捜査に協力しているというわけなのです。事件ごとに人格が変わるリヴと、リヴを霊能者だと信じてるクライヴの冷ややかな視線とつっこみは、このドラマの鉄板ネタで、事件捜査を飽きずに楽しませてくれるコメディ要素のひとつです。
このドラマにハマった理由はいくつかありますが、最も気に入ったのはリヴを中心とした仲間たちの絆です。ゾンビと人間の垣根を超え、強い絆で結ばれるリヴ、ラヴィ、クライヴ、ペイトン、メイジャーは、お気に入りのドラマ『グリム』のニックを中心とした仲間たちの絆に通じるものがあり、グリムロスの心をガッツリつかまれてしまいました。そして脇を固める面々も、グリム同様、キャラが立っており、悪役のはずのドンEには愛着さえ感じるようになりました。
回が進むにつれ、当初、人間社会に紛れて生活していたゾンビの存在が暴かれ、人間対ゾンビという対立関係が生まれます。後半のテーマには差別の問題なども含まれ、重い内容になりますが、人間とゾンビが共存できる社会実現のため奮闘するリヴたちから目が離せない展開が続きます。
このドラマのすごいところは、ゾンビ=悪じゃないところ。ゾンビとしての存在意義を求めるリヴの旅は、いつしか不治の病に苦しむ人々を助けることに変わってゆきます。ひっかき傷ひとつで不治の病を治せるリヴのもとには、ゾンビとしての健康な人生を望む子供たちが集まり、ゾンビゆえの孤独さを抱えるリヴが彼らに生きがいを見出す展開は感慨深いものを感じさせられました。
ゾンビと脳の話題ばかりで、『iゾンビ』愛を語りつくせなかった気もしていますが、ゾンビものは苦手だからという理由で視聴を迷ってるなら、ぜひ、見てみてください。軽く楽しめながらも深い内容の『iゾンビ』は、お勧めのドラマです。