原題:Years and Years
作品データ
- ジャンル:近未来SF ディストピアドラマ
- シーズン:1(完結)
- エピソード:6
- 主な舞台:イギリス
- リリース:2019年
- キャスト:エマ・トンプソン(ヴィヴィアン・ルック)ラッセル・トーヴィー(ダニエル)ロリー・キニア(スティーブン)ジェシカ・ハインズ(イーディス)ルース・マデリー(ロージー)
- メモ:最終話まで視聴済
- お気に入り度:
あらすじ
2019年から2034年。変わりゆく世界情勢が一般市民に及ぼす影響を、マンチェスターに暮らすライオンズ家を通して描くドラマ。
2019年。テレビの討論会に出演したヴィヴィアン・ルック(ヴィヴ)は、過激な発言で注目を集める。ライオンズ家では、末っ子で次女のロージーが第二子を出産する。シングルマザーのロージーのもとへ駆けつけた次男ダニエルは、不安な社会情勢の時代に生まれた甥っ子の行く末を心配する。
2024年。世界の情勢はますます不穏なものになってゆく。アメリカはトランプ大統領が2期目に勝利し、中国は係争海域に軍事基地を配備した人工島を作り、ウクライナはロシアの支援を受けた軍が政権を握る。イギリスでは政界へ進出したヴィヴが四つ星党を立ち上げる。
市民をとりまく状況も刻々と変化する中、ベトナムを旅行中の長女で活動家のイーディスとテレビ電話で繋がったライオンズ一家は、物議を醸す人工島にアメリカが核ミサイルを撃ち込んだ様子を目撃する。
おちゃのま感想
現実社会を皮肉ったブラックユーモアを楽しむというより、背筋が寒くなるような物語でした。ある意味、人間を食べちゃうゾンビが闊歩するTWDなどのドラマよりぞっとする内容で、なんとも言えない不気味な世界観はホラーのようです。
2019年〜2034年を舞台にしたこの作品を2024年に視聴したので、未来を予測したような内容にまず驚き、怖いもの見たさのような気持ちで視聴しました。リリースされた年が2019年ということを考えると、制作は新型コロナウイルスのパンデミック前で、ロシアによるウクライナ侵攻も始まってなかったということになります。パンデミックが世界の社会不安に拍車をかけたのは間違いないかもしれないけど、それ以前から危機はそこここにあったんですよね。
『2034 今そこにある未来』はイギリスを舞台にしたドラマですが、空恐ろしくなる理由のひとつは、今年がアメリカ大統領選の年ということもあります。ドラマの影の主人公でもある扇動的なポピュリスト政治家のヴィヴはトランプ氏をモデルにしたような人物で、常識を覆すような過激な発言をしながらも人を惹きつける得体のしれない求心力があるという設定。ヴィヴの発言を気にもとめなかった(むしろ鼻で笑ってた)市民が不満を抱えるようになり、ヴィヴ支持派に変化してゆく様子は、閉塞感が蔓延する現実社会そのもの。政治に興味がなくても、世界情勢の鍵を握るアメリカ大統領選後の“もしも”を考えさせられます。
まるで落下するジェットコースターに乗ってるような急速に変わる現代を風刺した内容の中で、視聴者へのメッセージはライオンズ家の祖母ミリュエルの「何もしなかった私たちひとりひとりの責任」という言葉にこめられてました。いつでもどこでも情報が得られ、誰かと繋がることができ、世界が小さくなった現代。誰の身にも起こり得ることを描いたこのドラマのジャンルは(wikiによると)“ディストピア”です。厄介なことや面倒事から目を背けたほうが生きやすいと感じてしまう自分を猛省しながら、現代はすでにディストピアなのかもと考えさせられるドラマでした。