原題:Mindhunter
作品データ
- ジャンル:犯罪心理スリラー
- シーズン:2(無期限保留)
- エピソード:19
- 主な舞台:バージニア州を拠点に各地
- アメリカでの放送:2017~
- キャスト:ジョナサン・グロフ(ホールデン・フォード)、ホルト・マッキャラニー(ビル・テンチ)、アナ・トーヴ(ウェンディ・カー)
- メモ:シーズン2まで視聴済
ストーリー
1970年代後半~80年代前半の物語。
FBI人質交渉人のホールデン・フォードは、担当した人質たてこもり事件が犯人の自殺で終わったことで、FBIの交渉手順に疑問を抱く。犠牲者がいない結果に満足する上司はホールデンをFBIアカデミーの教官に異動させ、ホールデンは“現代の犯罪者”の心理を理解する必要があると感じるようになる。
バーで知り合った社会学を学ぶ大学院生のデビーと付き合い始める一方で、ホールデンの現代犯罪心理学への興味は深まる。新しい知識を得たいというホールデンの考えを否定しながらも、所長は『行動科学課』のビル・テンチを紹介した。
全国の警察にFBIの手法を教えながら、現場の声を聴いているビルの相棒になったホールデンは、ビルとふたりで各地を回り、各地に収監されている凶悪犯の聞き取り調査を思いつく。犯罪者の生の声を聞くふたりの活動が自身の研究に役立つと確信した心理学者ウェンディも加わり、3人になった『行動科学課』の犯罪心理の研究は本格的になる。手探り状態で始めた活動は、いつしか注目を集め、実際の捜査への応用が期待されるようになっていく。
おちゃのま感想
制作総指揮のデヴィッド・フィンチャーが他のプロジェクトに専念する事情から今後の制作が無期限保留になったドラマですが、シーズン2まででも満足度の高い作品でした。
1話完結の犯罪捜査ものとは違い、事件を解決するのではなく、現在では当然のように思える“犯罪者を分析するプロファイリング”の成り立ちを描く物語です。『クリミナルマインド』を見ているわたしとしては、BAUの歴史を見ているような気持ちになりつつ、視聴しました。
全編、暗めのトーンで描かれる作品で、容易には受け入れられないプロファイリングという新たな分野を地道な努力で研究し続ける過程がテーマです。シーズン1は犯罪者のインタビューを続けるホールデンとビルの姿が中心に描かれ、シーズン2ではプロファイルを知らない現地警察や関係者への捜査協力の難しさが描かれています。
このドラマの見どころは“現実感”だと思います。ホールデンとビルのインタビューに応じる犯罪者たちは実在の人物で、取り上げられる犯罪も実際の事件です。特にシーズン2を通して描かれるアトランタ殺人事件では、時代背景や地域の問題など複雑な状況をからめ、思うように捜査協力できないホールデンの焦燥感と現地警察や関係者との温度差がリアルに伝わってきます。また、刑務所内でのインタビュー風景は、緊迫した心理ゲームの舞台を見ているようで、見ごたえがあるシーンになっています。
個人的なお勧めポイントは、行動科学課の中心人物、ビル、ホールデン、ウェンディそれぞれの緩さがいっさいない設定と役作りです。特にホールデン役のジョナサン・グロフは『glee』のジェシー役で見せた軽さは微塵もなく、演技力でぐいぐいと物語へ引き込んでくれます。ホールデンは天才的な直観力の持ち主なんですが、それゆえに共感力不足を感じる人物です。情熱を持ちながらも、うまく立ち回れない姿や、犯罪者たちの心理に迫るうちホールデン自身も変化しているんじゃないかと感じさせる演技は光っていました。
5部構成の予定だったとのことなので、時間がかかっても続編を作ってほしいです。そのときは、ホールデン、ビル、ウェンディの3人が続投してくれますように(願)