Episode1
【ざっくりあらすじ】
1963年、ロンドン。夫アレックの死をきっかけに、平穏なアリソンの人生が一変した。悲しみの中にいるアリソン宅を訪ねて来た女性は、アレックの妻を名乗ったのだ。
もうひとりの妻
訪ねてきた女性はアレックの離婚した妻、グラディスだった。アレックの妻を名乗ったグラディスは、アリソンを大家だと思い込んでいる。アリソンに「前の奥さんね」と念押しされたグラディスは、ショックを受けた様子で「彼は私の夫よ」と反論した。わけがわからず動揺したアリソンはグラディスを追い返した。
アレックは作家という表の顔とは別にイギリスの諜報員だった。アレックが見せてくれた離婚証明書が自宅で見つからなかったアリソンは、アレックの管理者(ハンドラー)のコールマンを訪ねた。
コールマンがアレックについて知っていることは、アラビア語ができる上流階級出身の作家で、既婚者だということだ。“既婚者だった”と訂正したアリソンは、1940年にアレックから離婚証明書を見せられたと断言するが、コールマンはそれが偽造である可能性を示唆した。さらに、コールマンは、カトリック教徒の離婚が難しい事実も指摘した。アレックはカトリック教徒だ。
結婚までの経緯
アリソンとアレックの出会いは、アリソンがイギリス秘密情報部の事務職に就いた1940年4月8日だった。既婚者のアレックはアリソンにとって手の届かない存在だったが、人気シリーズ小説の作家の顔を持つアレックにアリソンは惹かれ、アレックも親子ほど年の離れたアリソンとの会話を楽しんでいた。
アレックが離婚証明書をアリソンに見せたのは、その年のアリソンの誕生日ディナーの席だった。プレゼントのペンをアリソンに贈ったアレックは、サプライズのように離婚証明書を取り出した。アリソンは戸惑っている気持ちを正直にアレックに伝えたが、その夜の空爆がふたりを結び付けたのだ。
結婚したふたりはゴードンとジェイソンと名付けた息子たちに恵まれ、ごく普通の家族としてともに人生を歩んできたのだ。
葬儀での出来事
葬儀の準備を勧めるアリソン宅をグラディスの息子デニスが訪れた。アリソンはアレックとの結婚証明書を提示するが、そこに書かれた名前と生年月日はデニスが知るものではない。アリソンと1941年に結婚したアレックは「仕事で間借りしてる」とグラディスやデニスに説明していた。20年間、父の言葉を信じていたデニスによると、アレックはアリソンと結婚したのちも夫としてグラディスを支え、父としてデニスに接していたのだ。
デニスは、アリソンが見たと断言した『離婚証明書』を要求した。しかし、役所にアレックとグラディスが離婚した記録はない。切羽詰まったアリソンは自ら作った偽造の離婚証明書でやりすごそうとしたが、書類を見せるため訪ねたグラディスの自宅はそこがアレックの家で彼らの家族だと証明していた。デニスに「警察に捜査してもらう」と告げられたアリソンは泣き崩れた。デニスは「埋葬させてくれるならミサの後で構わない」と譲歩し、アリソンも受け入れた。
父を尊敬している息子たちに真実を隠したアリソンは、もうひとつの家族とともに“本当”の名と生年月日が刻まれた棺に納められたアレックを埋葬した。「父が嫌っていた親戚」と説明されたグラディスたちをアリソンの息子たちは疑わず、グラディスも声をかけることはなかった。デニスは異母兄弟たちとの交流を望むが、アリソンは認めなかった。
ひとり墓地に残ったアリソンに、戦前インドで親友だったというシャバーズ・カリムという男性が声をかけた。娘と間違えられたアリソンは“妻”だと訂正し、カリムは“妻”のアリソンを“ドロシー”と呼んだ。アリソンが“ドロシー”ではないと気付いたカリムは『1942年の潜入任務の本当の理由をコールマンに聞け』と言い、何の説明もせず立ち去った。
1942年の極秘任務
長男のゴードンが生まれてまもなく、アレックにエジプトでの潜入任務が命じられた。エジプトに潜入するためのシナリオは、『軍服を悪用した詐欺罪』で逮捕されたことで解雇されたアレックが国を裏切るというものだった。小さな息子と不安な日々を送ったアリソンの元へ帰ってきたアレックは、国のために冤罪を受け入れ、今後はコールマンの下で調査員をすることになると話していた。
おちゃのま感想
アリソン演じるルース・ウィルソンの祖母の実話を基にしたドラマです。
『亡くなった夫には“妻”がいた』という部分を知って見ているせいか、どうもアレックが信用できない人に思えた第1話でした。既婚者のアレックのほうが積極的にアリソンを誘っていたように描かれていたし、ちょっとした浮気心から本気になってしまった・・・。そんなふうにも見えました。しかし、離婚証明書を準備しているあたりは、思惑を感じます。
さらなる謎で次回へ続きました。ドロシーという“妻”の存在や、冤罪を背負った潜入任務やら、先の展開が非常に気になります。どういう事情があったんだろう?アリソンは納得する答えを見つけられるのかな。
ストーリーとは別に、1963年のアリソンのファッションも興味深いです。