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ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤【ドラマファイル】

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原題:His Dark Materials

His Dark Materials

作品データ

  1. ジャンル:ファンタジー
  2. シーズン:3(完結)
  3. エピソード:23
  4. 主な舞台:並行する複数の世界
  5. リリース:2019-22
  6. キャスト:ダフネ・キーン(ライラ)アミール・ウィルソン(ウィル)ルース・ウィルソン(コールター夫人)
  7. メモ:最終話まで視聴済
  8. お気に入り度:4.0

世界観

並行する複数の世界が舞台となり、物語は主人公の少女ライラが住む世界からはじまる。

宗教組織マジステリアムが支配するライラの世界では、人間の守護精霊がダイモンと呼ばれる動物の形で存在する。ダイモンは主である人間の傍らに寄り添い、遠く離れることはできず、ダイモンが死ねば人間も死に、人間が死ねばそのダイモンは消えることになる。人間が子供の間はダイモンの形は定まらず、様々な形に変化する。

イントロダクション

赤ん坊の頃、探検家のおじアスリエルの手でオックスフォード学寮に預けられたライラは、学寮に守られ、活発な少女に成長した。久しぶりに学寮に現れたアスリエルはマジステリアムが危険視している“ダスト”について報告し、学寮の学者たちを動揺させる。

町では子供たちが誘拐される事件が続く中、ライラはロンドンに住むコールター夫人に引き取られることになる。一緒にコールター夫人宅へ行くはずだったライラの親友ロジャーが誘拐され、ライラはロジャー救出を誓う。

ライラを送り出す学寮長は「誰にも見せてはならない」と釘を刺したうえで、ライラに真理計(黄金の羅針盤)を渡す。コールター夫人のもとで暮らし始めたライラはロジャーをはじめとする誘拐された子供たちを探し続け、マジステリアムと通じる夫人が黒幕だと知る。

一方、別の世界では、少年ウィルに危険が迫る。魔女の予言によると、ライラ同様にウィルも重要な存在だった。ライラの世界から来た男のせいで、図らずも警察に追われる身になったウィルは別の世界へ足を踏み入れてゆく。

 

おちゃのま感想

ネタバレを含みます

まだHBO作品がスタチャンexで配信されてた頃にシーズン1を見て、続きを見ないままドラマは完結。最近U-NEXTに加入したこともあり、ようやく全話、見終わりました。まずはシーズン1から再視聴。手を抜かない世界観に改めて感嘆しながら、ダークなライラの物語を堪能しました。

何から書こうかな?と迷っておりますが、このドラマでいちばんのお気に入り、ダイモンについてから。ダイモンの演出が稚拙に見えたら、作品そのものが台無しになっていたと言い切れるほど重要なポイントでした。本物の動物らしく見せながら、主である人間の人となりを表現し、ダイモンを見ればその人が分かる。作品の見どころとも言えるこの演出が素晴らしかったです。主の成長とともに定まった形(動物)になるダイモンの変化は、人のアイデンティティが確立される様子を表現しているようでもありました。

このドラマのメインストーリーは、支配者に抗う者たちの戦いですが、根底にあるテーマは定説になっている宗教観への挑戦のように思えます。シーズン2あたりから語られるようになる“イブの堕落”(ライラ=イブ、ウィル=アダム、メアリー=ヘビ)の件は唐突に思え、メインストーリーと噛み合わない印象で戸惑いましたが、新たな解釈を示唆することが狙いだと考えると、なるほど納得もできます。ただ、そう思えるのは最終話を見たからこそで、メインストーリーにからむこともなく描かれるヘビ役のメアリーの旅を蛇足に感じながら見ていたことが残念です。

良かった点が多々あるドラマでしたが、中でも素晴らしかったのはマリサ・コールター夫人役のルース・ウィルソン。すごい演技でした。シーズン1で登場した当初は本心を隠す冷徹な女性といった雰囲気でしたが、娘ライラに対する感情の変化は見応えありました。名もなく喋ることもしない彼女のダイモン(黄金の猿)がマリサの本当の姿を表しているとしたら、女性が軽んじられる抑圧された社会でその才能を隠して生きなければならないマリサの苦悩も理解できます。そんなマリサの愛情は本心が分からないほど歪みすぎてましたが、終わってみると彼女の愛は本物だったと感じます。一方、最後まで理解できなかったのはライラの父親であるアスリエルです。命がけで革命を起こそうとしているとしても、恐怖に怯えるロジャーを犠牲にしたことは許せません。他者の命を軽んじる彼の正義とは?と考えさせられます。

壮大なライラの冒険は大団円で終わりましたが、ほろ苦さが残るものでした。それぞれの世界で生きるしか選択肢はなく、切ない別れをしたライラとウィルの想いを感じながら、書きつくせない感想を終わりたいと思います。

 

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