Episode4 Our Time Is Up
【ざっくりあらすじ】
以前ジョーンが世話になったセラピストのキャンディス・リード医師が刺殺された。犯行現場の診療所に侵入の痕跡はなく、患者のプライバシーを守るため防犯カメラの設置もない。シャーロックは知人を亡くしたジョーンを気遣うが、ジョーンは「お世話になったけど、大丈夫」と捜査を続けた。
守秘義務の壁
犯人は50か所以上も執拗に刺したことからキャンディスに執着している患者を調べたいが、同僚のデモプロス医師は「患者の記録にアクセスできるが法律上記録は提供できない」と説明した。嗚咽をもらしながら聴取に応じる夫に、ジョーンは「5年前、私も彼女のセラピーに救われた」と慰めの言葉をかけた。キャンディスは患者名を伏せたうえで夫に仕事の話をしており、『火曜日5時の患者』がキャンディスに執着していることがわかった。
裁判所命令を待てないシャーロックは勝手に診療所からキャンディスのハードドライブを持ち帰り、患者の記録を精査した。その記録から『火曜5時の患者』は、大手会計事務所フォスター&プレイスに勤務するカプールだとわかる。キャンディスが殺されたと知らされたカプールは3階のオフィスから衝動的に飛び降り、自殺防止の入院が決まった。意識が戻ったカプールは「飛び降りたせいで疑われたくない」と言いつつも、事件の夜のアリバイは秘密保持契約で明かせないと説明した。アリバイを証明すれば年商10億ドルの企業の株が暴落し、カプールは訴えられることになるのだ。
シャーロックは入院中のカプールに仕事の書類を届けた上司のプレイスに嫌悪感を抱く。プレイスは診療所が入っているビルのオーナーで、カプールをキャンディスに紹介した人物だった。プレイスは「疑うべきはデモプロス医師だ」と指摘し、キャンディスがデモプロスの賃料を肩代わりし、ふたりが口論していたと教えた。しかし、デモプロスのアリバイは患者のマーロウが証言し、借金についてもデモプロスは「利子をつけて返済した」と説明した。
最後の言葉
デモプロスを訪ねた際、ジョーンはシャーロックが盗んだハードドライブを診療所に戻した。「今返せばバレない」と言うジョーンを待つ間、蛍光灯を消したシャーロックは天井で光る小さな盗聴器に気が付いた。シャーロックとジョーンは盗聴を仕込んだ人物はビルのオーナーのプレイスだと確信した。目的はセラピーで機密情報を漏らす危険のあるカプールの会話を聞くことだ。自称『はぐれ者の警察顧問』のシャーロックに警部に話すと告げられたプレイスは、事務所を巻き込まない代わりに音声データを渡すと提案した。
しかし、盗聴の音声データは、プレイスのフィクサーが盗聴の証拠を消すためすでに処分していた。殺害時の音声を聞いたフィクサーが教えた『キャンディスが最後に発した言葉』からシャーロックはデモプロスが犯人と特定した。キャンディスの最後の言葉はギリシヤ正教の葬儀で使われる言葉で、デモプロスの両親はギリシャ出身だ。
アリバイがあるデモプロスをはめる作戦を考えたシャーロックとベルは芝居を打った。セラピー中のカプールの病室へ乗り込んだふたりは「容疑者を聴取する」と告げ、デモプロスを廊下へ締め出した。激しく尋問されるカプールを廊下から見ていたデモプロスは、カプール以外の誰かに罪を着せるため凶器のナイフを捨てたゴミ箱へ直行し、尾行していた警官に逮捕された。
キャンディスが出張のとき、代わりにカプールを診察したデモプロスは、カプールが語る話の価値に気付いたのだ。資金繰りに苦労していたデモプロスにとってカプールは大切な金づるだった。カプールを独占するためにキャンディスを殺したデモプロスは、犯人にされそうなカプールを守るため墓穴を掘ったのだ。
5年前のセラピー
シャーロックがキャンディスの診療所から盗んだハードドライブの中には、ジョーンの5年前のカルテも入っていた。自分のカルテを読んでしまったジョーンは、思いがけないキャンディスのメモに困惑した。キャンディスは『(ジョーンは)いい母親になれた』とコメントしていたのだ。
ジョーンの事情を知ったリンはセラピストのようにジョーンに寄り添い、なぜその言葉が気になるのか自問させた。父の統合失調症が子供に遺伝するかもと恐れる気持ちはリンも同じだった。リンと話したジョーンは、キャンディスのメモで困惑したのは『人生にやり残したことがあると気づいてしまったから』と、結論を出した。ジョーンは養子縁組の手続きを始めた。
おちゃのま感想 ★★★★
えーっと。
お世話になった人が殺されたジョーンの反応があまりに淡泊だった気がして、ちょっと戸惑い気味で感想を書いてます。キャンディスの死より、キャンディスが書いたメモのほうがジョーンにとっては重要だったみたい。そんな印象。
とはいえ、今回の事件はジョーンの人生に影響を与えることになりそうです。以前シャーロックに子供を持つことについて質問されたとき(シーズン3第18話「オリュンポスの監視者たち」)、「たまに考える」とサラっと答えてたので、ジョーンの心の奥底にずっとある重い問題だったんだろうと思います。『探偵業に人生を捧げる』な覚悟をしていたジョーンですが、そろそろ前に進んでもよいころですよね。
それにしても、シャーロックの『ビクトリア朝時代の塩水タンク』って・・・。今シーズンは、奇抜な装置が続々登場しております(^▽^;)