原題:Atypical
作品データ
- ジャンル:コメディ
- シーズン:4(完結)
- エピソード:38
- 主な舞台:コネチカット
- アメリカでの放送:2017-2021
- メモ:最終話まで視聴済
ストーリー
18歳になった自閉症スペクトラムのサムにとって、恋愛は未知の世界。セラピストのジュリアに「自閉症の人も恋人を見つけてる」と背中を押されたサムは恋人探しを始める。
サムの悩みを知った妹のケイシーは面白がり、出会い系サイトにサムを登録する。子離れできない母のエルサは「まだ早い」と反対し、恋愛を勧めたジュリアに抗議する。興味の対象が“ペンギン”と“南極”のサムは女性を知るため、“誰よりも賢い”(とサムが思ってる)親友ザヒードにアドバイスを受ける。サムに視線を送るバイト先の客を誘うことに成功するものの、サムの抱える事情を知らない女性は罵声を浴びせる。落ち込むサムに、父のダグは「恋人はありのままのお前を好きになってくれる人がいい」と励ました。父の言葉を真面目に受け止めたサムはジュリアがその相手だと考える。
おちゃのま感想
シーズン3まで、いっき見しました。ということで、面白かったです!『自閉症スペクトラムのサムが恋愛について学ぶ』というところから始まるドラマですが、テーマはサムが自分の人生を歩き始める成長物語です。
コメディなので緩い気持ちで見つつも、じんわり涙ぐんでしまうエピソードも多く、苦悩しながら壁を乗り越え前進するサムの姿に感動します。できる限りの予防と準備をしていても、パニックはサムを襲うし、理解してくれない世間の目は冷たいし、意地悪な同級生はいる。自閉症を背負うサムの人生は正直厳しいものです。「普通だったらよかったのに」と嘆くサムに、「普通のやつなんていない」と言うエヴァン(サムの妹ケイシーのボーイフレンド・・・になる)のセリフは、そもそも“普通って何?”と考えさせられます。
母エルサの過保護ぶりは度が過ぎているけれど、サムを見守る周囲の人々の理解と、特別扱いしない距離感が心地よく、時に顔見知り程度の人が密かにサムを見守ってた…なんてシーンは、そのさりげなさに感動しました。しかし、理解してくれる人のほうが圧倒的に少ないのが現実です。自閉症だと説明してもわかってもらえなかったり、そうだと知っていても嫌悪感丸出しで見られたり、本人の努力をはるかに超える偏見に立ち向かう様子も、サムだけでなく家族や友人たちを含め、きちんと描かれています。
ウソがつけないサムの率直さや、頑固なまでに南極やペンギンにこだわる件は笑いを誘う部分でもありますが、サムの純粋さがストレートに伝わる要素になってます。他人の感情を読み取ることが苦手で、皮肉も悪意も通じないサムですが、誰かを大切に思う気持ちはちゃんと持っています。喉がつぶれたペイジに代わり(サムに酷い仕打ちをした同級生を怒鳴りつけたため声がかれてしまった~)、高校の卒業式でスピーチするシーンや、ケイシーの誕生日を必死に祝うサムの姿は、サムの愛情深さが現れていました。
サム以外の人物に目を向けると、お気に入りになったキャラは、ケイシーのボーイフレンド、エヴァンです。一見チャラそうに見えるエヴァンですが、サムとはまた別の意味で、まっすぐな性格なんです。奨学金を目指し陸上を頑張ってたケイシーが名門校にスカウトされ、安泰だったケイシーとエヴァンの関係も変わったシーズン3。新しい世界に舞い上がってるふうだったケイシーが、シニカルで冷静な自分を取り戻してくれると信じたいです。
高校生だったサムがママの反対を押し切り自らの意思で大学へ進学し、環境だけでなく人間関係の変化も経験しました。ペンギン愛から始まった才能も開花しつつあります。この記事を書いてる段階でシーズン4への更新は発表されておりませんが、今後も成長続けるサムの物語を見続けたいです。
※シーズン4へ更新されました!シーズン4がファイナルになります。