Episode 5~8
イヴは、一命を取り留めたニコに「なぜこうなったのか必ず突き止める」と約束するが、ニコはイヴを拒絶する。一方、ヴィラネルはロシアの片田舎で新しい家族と暮らす母と弟と再会した。
ヴィラネルの家族
オクサナ(ヴィラネル)は死んだと聞いていた弟ピョートルは驚き、母タチアナは感激の涙を流す。母の新たな家族たちと打ち解けながら、母を観察するヴィラネルは、性悪だった母が家族や村に溶け込んでることに違和感を覚える。
村の収穫祭に参加したヴィラネルは、ピロシキコンテストで優勝できなかった末息子のボルカに寄り添う母を目撃する。一見、慰めているようにボルカに声をかけていた母は「家族の恥」と、ボルカを罵っていたのだ。
ヴィラネルを警戒し始めた母は「あんたは家族じゃない」と言い、出て行ってと告げる。「どす黒い心でこの家を汚さないで」と言われたヴィラネルは、養護施設に入れたきり見捨てた母に反発する。「あんたは私からすべてを奪った」とヴィラネルを責める母はヴィラネルの言い分を受け入れず、ヴィラネルは「あんたを殺さなきゃ」と宣言する。母を殺したヴィラネルは、“母の家”を爆破した。
管理者の仕事
ニコを襲ったのはヴィラネルではないと確信するイヴは、ヴィラネルが手口を真似た元五輪選手でKGBスパイのダーシャに注目する。キャロリンによると、KGBトップの暗殺者だったダーシャは仲間を殺したことでKGBを追われ、現在はバルセロナで子供相手に体操を教えている。バルセロナへ飛んだイヴはダーシャと対峙し、イヴの質問をはぐらかすダーシャはヴィラネルが組織内で大出世したと教える。
その大出世は、ヴィラネルが望むようなものではなかった。管理者へ昇格したヴィラネルを祝福したトゥエルヴの幹部エレーヌは次の暗殺を命じ、落胆したヴィラネルはコンスタンティンと逃げると決める。しかし、娘のイリーナとふたりで逃亡するつもりのコンスタンティンは「逃亡先に無事についたら呼ぶ」と言い含め、しぶしぶ組織の暗殺を続けるヴィラネルは仕事をしくじった。
暗殺の標的に反撃されたヴィラネルは「もうズラかる」とダーシャに本音を漏らし、エレーヌに呼び出される。説教されたうえ、完璧に暗殺をやり遂げるリアンに任せると煽られたヴィラネルは、次の仕事を引き受けてしまう。
内通者と裏切者
ケニーの亡くなる前の通話記録を入手したキャロリンは、届いていた記録を隠したポールを疑う。トゥエルヴの協力者かと率直に質問されたポールは「君はどうなんだ?」と質問を返し、唐突に荷物をまとめ、オフィスをキャロリンに引き渡した。
死の前夜、ケニーはコンスタンティンに電話していた。「うちの子に何したの?」と問い詰められたコンスタンティンは、キャロリンを監視するため利用したジェラルディンのことだと勘違いする。「彼女がキスした」という答えに絶句しながらもキャロリンはケニーのことだと指摘し、コンスタンティンは「父親かと聞かれ、分からないと答えた」と説明した。
一方、キャロリンにトゥエルヴだと気づかれたポールはコンスタンティンに接触する。組織の金を横領した犯人を捜しているポールは、金庫番だったクルーガーの妻暗殺事件に目をつけ、「妻の暗殺を指示した者を全力で突き止めろ」とコンスタンティンに命じる。妻暗殺を命じたコンスタンティンは逃亡するためイリーナを迎えに行くが、母親の恋人を轢き殺したイリーナはモスクワの少年鑑別所に収監されてしまう。イリーナには深刻な問題があると判断した鑑別所の担当者は買収に応じず、「2日後に来る」とイリーナに告げたコンスタンティンはロンドンへ戻る。
アバディーンでの出来事
ヴィラネルとダーシャが次の暗殺の標的がいるスコットランドのアバディーンに到着した頃、ヴィラネルが贈ったバースデーケーキから居場所を突き止めたイヴもアバディーンへ向かう。助けを求める男と出くわしたイヴは、男が話す“やばい女たち”はヴィラネルとダーシャだと確信する。
男が教えた現場にいたのは倒れたダーシャだけだった。ダーシャと言い争いを続けていたヴィラネルは標的の男を殺すと見せかけ、ダーシャを襲ったのだ。イヴを見たダーシャは「あいつ、すてきなおヒゲだね」と言い、ダーシャがニコを襲ったと知ったイヴはダーシャの胸を思い切り踏みつけた。
一方、ダーシャを襲い、逃げたヴィラネルは迎えに来たコンスタンティンといた。あれこれストレスだらけのコンスタンティンが倒れ、代わりにコンスタンティンが隠した物を取りに行くヴィラネルはイヴとすれ違う。病院へ運ばれたコンスタンティンは、ストレスが原因の心臓発作だとわかる。思わず大笑いしたコンスタンティンの隣のベッドにはダーシャがいた。
分岐点
トゥエルヴから抜けたいヴィラネルは、以前、モスクワの刑務所で“雇う”と声をかけてくれたキャロリンと会うが、今のキャロリンはヴィラネルを必要としていなかった。ケニーだけでなく、ポールがトゥエルヴだという証拠をつかんだ部下のモーが殺されたキャロリンにとって、何の情報も持たないヴィラネルは利用価値のない存在なのだ。
望むように足を洗えないヴィラネルは、初仕事をしたダンスホールにイヴを呼び出す。あの時、仕事を引き受けなかったらと、過去を振り返るヴィラネルとイヴがふたりだけの時間を過ごす中、エレーヌの手下リアンが現れる。
イヴを追い払ったヴィラネルはまったく共感できないリアンを殺し、一方、ヴィラネルに託されたメモの荷物を回収したイヴは、自分の荷物だと主張するコンスタンティンともめる。ダーシャに「あんたはここで死ぬ」と告げたコンスタンティンは、荷物を回収するため自主退院したのだ。
荷物を守るイヴ相手に苦戦するコンスタンティンにポールから電話が入る。口座から金を盗んだとわかってるぞと脅すポールは「30分で私の家へ来い」と命じる。用事ができたと言うコンスタンティンにイヴは同行し、ふたりはポールの自宅へ向かう。
キャロリンの悲しみ
ポールを利用し、コンスタンティンを呼び出したのはキャロリンだった。ケニーの同僚だった『ビター・ピル』のベアが社内のスナック窃盗犯を見つける目的で、個人的に設置していた監視カメラに死ぬ直前のケニーとコンスタンティンが映っていたのだ。
イヴに会うため『ビター・ピル』を訪れていたヴィラネルもポール宅に現れる。イヴとヴィラネルが見守る中、コンスタンティンとポールに銃を向けるキャロリンは「なぜケニーを殺したの?」と問い詰める。証拠の映像があると言われたコンスタンティンはポールの指示だったと言い、組織に近づきすぎたケニーに警告したと説明する。コンスタンティンによると、死にたくないならトゥエルヴに協力しろと言われたケニーはおじけづき、後ずさりしたことで転落したのだ。
「できれば信じたいけど無理」と告げたキャロリンはコンスタンティンを跪かせる。額に銃口を突き付けられたコンスタンティンはヴィラネルに助けを求めるが、ヴィラネルは動かない。コンスタンティンに憎しみを向けながらも、キャロリンはポールを射殺し、コンスタンティンを見逃した。
ヴィラネルに「あんたは家族じゃない」と告げられたコンスタンティンは去り、イヴはポールを殺したキャロリンを責める。イヴは「ポールを生かしておけば組織の謎が解けたのに」と悔やむが、口封じにモーを殺したポールをキャロリンは許せなかったのだ。キャロリンがコンスタンティンを見逃した理由は、ケニーの死は自分のせいだと考えているからだった。
ふたりの進む道
ヴィラネルは「足を洗う」と、イヴに打ち明ける。この先のことを考えるとヴィラネルの顔が浮かぶイヴは「助けて」と言い、ヴィラネルは反対の方向へ歩くことを提案する。背を向けたふたりはそれぞれ前を向いて歩き出すが、どちらともなく足を止める。振り返ったふたりは互いを見つめた。
おちゃのま感想
ヴィラネルとキャロリンの心の動きが興味深いシーズン後半でした。このふたりに比べると、複雑な葛藤を抱えつつもイヴはわかりやすい人に思えます。
感情だけでなく本音も見せないキャロリンを母に持つジェラルディンがコンスタンティンに惹かれた理由と、ヴィラネルがコンスタンティンに愛着を感じてる理由は同じなのかな?まったく共通点のないヴィラネルとジェラルディンですが、安心できる包容力のようなものをコンスタンティンに感じたのかな~?キャロリンも何かとコンスタンティンをかばってる節があるし、わたしが理解できない魅力がコンスタンティンにはあるのかもしれません。
ところで、わたし、ニコは死んじゃったと思ってたのですが生きてましたね~。あまり見せ場がなくなったニコの次シーズンの扱いが気になります。きっぱりヴィラネルと手を切らないなら、イヴはニコを自由にしてあげたほうがいいと思うんだけどな…。
今シーズンは、世界中で多くの人が亡くなっている状況下で視聴し始めたので、殺しをコミカルに描く部分に心が萎えてしまったのですが、後半は生き方を変えたいヴィラネルの苦しみが真面目に描かれ、次への興味が続きました。よかった~。
人生をやり直そうとしているヴィラネルがイヴたちのもとに留まり、トゥエルヴとの闘いに参加してくれることを願いつつ、あまり大きな期待はせず(今シーズンの期待がはずれたので)次シーズンを待つとします。