Episode7 How Do You Remember Me?
気持ち良い秋晴れのNY。恋人と手をつなぎ街を歩くベンは、にぎやかな女性たちと店から出てきた男性に目を留める。見覚えのあるその男性は、ベンがまだ何者でもなかった頃、一度だけデートしたロビーだった。
記憶に残る夜の出来事
ロビーとの出会いは、友達の同僚の紹介だった。写真のロビーはハンサムで魅力的だったが、22歳のベンが“恋人に求める条件”には当てはまらない。それでも、積極的な行動をモットーにしていたベンはデートに応じ、その日は特別な夜になった。
“恋人に求める条件”だけでなく、当時のベンには多くの夢があった。職場もアパートも、夢を実現するまでの一時しのぎの場所でしかない。そんなベンと、教師という職業に満足しているロビーは性格も正反対だったが、会話が途切れることはなかった。
アルコールはふたりの距離を縮め、ベンは脚本家になりマンハッタンに住む夢を語り、ロビーは「去年、恋人と別れてからなかなか次へ進めない」と打ち明ける。バーへ場所を変えたふたりは、気持ちも会話も熱を帯びる。よかったらここを出ない?と切り出したロビーにベンはキスをした。
自分の部屋でロビーと愛し合ったベンに、思いがけない知らせが届く。デート中、何度も着信があった姉の用件は、父が倒れたと知らせるものだった。ロビーは「気にせずに出なよ」と言ってくれたが、デートに夢中だったベンは姉の電話を後回しにしたのだ。
自身も困惑している姉は、バーベキュー・パーティーの最中に前触れもなく倒れた父の様子を教える。心肺蘇生されたのち病院へ搬送された父は、いまは検査の結果待ちだった。涙を流すベンを抱きしめたロビーは「力になるよ」と言い、出身地も知らないベンの航空券の手配を引き受ける。そんなロビーをベンは拒絶し、ロビーはベンが望んだように部屋を出ていった。
再会することもなく月日は流れ、ベンの夢は現実になろうとしている。すれ違ったふたりは、互いを振り返る。あの夜、心細そうにしていたベンは柔らかな微笑みをロビーに向け、その笑顔に安堵したようにロビーも微笑みを返す。“タイミングは人それぞれ”。それは、あの日のデートでベンがロビーにかけた言葉だった。タイミングが合わなかったふたりの恋は始まる前に終わり、いま、ベンの隣には恋人がおり、ロビーも前へ進もうとしている。
おちゃのま感想
もとになったエッセーの著者は俳優のアンドリュー・レイノルズ(Andrew Rannells )さんで、このエピソードの脚本と監督もレイノルズさんです。なので、深読みせずに、自分の想像をはさまないようにあらすじを書くのに苦労しました〜(~_~;)
ご本人が制作に携わっていなければ、これでいいの?何を伝えたかったの?とまたしてもモヤっとしてまうところでしたが、これがすべてなんですよね。1度きりになってしまったデートの相手との素晴らしくも悲しい夜の思い出…の物語。
父が倒れた知らせを受けたベンがナーバスになった理由は、セリフや演出ではなく、演技そのもので伝えたかったんでしょうかね?自分としては、あの部分は、ベンの父に対する思いも描いてほしかったです。NYタイムズにアップされたエッセーには、離婚して家を出た父に対する悲哀のようなものを感じたので。とはいえ、それを描くとロビーとの一夜の思い出がボケてしまったかな?
有名どころの俳優さんを起用するエピソードが多い中、新進気鋭の俳優さんを起用したのは、レイノルズさんのこだわりでしょうかね。ご両親ともに俳優のロビー役ゼイン・パイス(Zane Pais)さんは、これから売り出してゆくのかもしれません。ロビーの恋する表情や醸し出す雰囲気は、この物語の肝のように感じました。