Episode8 A Second Embrace, with Hearts and Eyes Open
ヴァンとの結婚を終わらせたリズは、“今のままでいい”と感じている。友人のリリーに「まだ若いんだから」と言われても、ネットで新たな出会いを求めるのはどこか違うと感じるのだ。
共有の思い出
時間と距離は、別れた夫婦のリズとヴァンを変えた。リズは結婚生活に期待しすぎた自分も悪かったと思えるようになり、「僕は元がダメすぎた」と認めるヴァンは娘たちに愛される家庭的な父親に変わった。そんなふたりの関係に変化が起きたのは娘たちの発表会の日だった。
二人揃って出席した娘たちの晴れの舞台。たどたどしくも心に響く末娘のウクレレの弾き語りに感激したリズは「今夜、お祝いしましょ」とヴァンに声をかけた。子どもたちは寝静まり、ソファーでくつろぐふたりは結婚生活を振り返る。
リズは「別れた元夫婦がこんなふうに話せるなんてウソみたい」としみじみと感じ、最初に住んだアパートの思い出はふたりの距離を近づける。椅子を壊して暖炉で燃やしたこともある猛烈に寒いその部屋で、リズはスキーウェアでベッドに入りヴァンを困らせた。食事はツナ缶。テレビも電話もなく、もちろんパソコンもない。なにもないその部屋のソファで、ふたりはキスばかりして過ごしていた。
互いが世界のすべてだった頃の甘酸っぱい思い出に浸るふたりは、その夜、ふたたびベッドを共にした。
2度目のプロポーズ
娘たちが演劇教室で遅くなる火曜日がふたりのデートの日。友人リリーに「それって楽な選択をしただけでしょ」と指摘されながらも、リズはヴァンとの新たな関係に満足している。リズは“結婚しなければうまくいく”と割り切っていたが、ヴァンはそうではなかった。
秘密のデートを重ね、2ヶ月が過ぎた頃、ヴァンは2度めのプロポーズを計画する。12年前に指輪を買った店でリズのサイズを確認し、新しい指輪も手に入れた。しかし、ディナーの席でプロポーズするつもりのヴァンの前に座ったリズは、その日、診断されたばかりの深刻な病名を打ち明けた。
ショックを受けつつも、ヴァンは冷静に事実を受け止めた。「再婚しよう」と告げたヴァンはただ一緒にいたいという率直な気持ちを伝えるが、動揺しているリズは「今はとてもじゃないけど考えられない」と返事する。そんなリズの前の運ばれてきたデザートには、予めヴァンがレストランに頼んでいた指輪が添えられていた。
「1人にさせて」と断ったリズは席を立ち、ヴァンはリズの留守電にメッセージを残す。最悪なタイミングになったプロポーズを謝り、出会ったときから変わらずずっと愛していると真摯に話す。しかし、「さっきのレストランで今も待ってる」というメッセージにリズは応えてくれなかった。
癒しの指輪
入院中、最悪のタイミングになった2度めのプロポーズを謝るヴァンの留守電メッセージを聞いて過ごしたリズは、ヴァンの支えを受け入れた。娘たちを愛し、献身的で寛大なヴァンと過ごすうち、リズは自分の中にずっとあったヴァンへの愛に気づくが、不確かな現状では“イエス”という返事はできない。
そんな中、嫌な予感を抱えながら受けた診察の結果は、喜べないものだった。医師が勧める治験への参加を決断したリズは、病院に届ける“近親者”をリリーからヴァンに変えた。
治験の入院は2日間の予定だが、リズの不安は消えない。入院したリズに付き添うヴァンは「病気は乗り越えられるよ」と励まし、リングケースを差し出す。「大丈夫、プロポーズじゃないから」と苦笑するヴァンの声を聞きながら、ケースを開けたリズは息を呑む。そこにあるのは、家族で行ったマーケットで見つけたムーンストーンの指輪だった。あの時、サイズが合わず諦めた指輪は、リズの右手の薬指におさまった。
ヴァンにキスしたリズは、“イエス”だったのにとプロポーズの返事をする。「またプロポーズするから」と約束するヴァンの揺るがない愛は、不安や心配でいっぱいだったリズの心を癒やした。
おちゃのま感想
シーズン2最終話は、別れた夫婦の物語でした
ヴァンが二度目のプロポーズを計画したその日に、リズが病気の告知されたという流れに、まさか悲しい展開になるのでは・・・とハラハラさせられましたが、ラストはハッピーエンド。観終わった後にググったエッセイの著者Mary Elizabeth Williamsさんは治験が効果あり、ご活躍とのこと。安心しました。
リズとヴァンの離婚の原因や経緯は、リズとリリーの会話から想像するしかありませんが、修復不能な別れでなかったことは確かですよね。リリーはヴァンにダメ出ししてたけど、ふたりの間には怒りや憎しみといった負の感情はなかったように感じます。きっと当事者のふたりにしか分からない事情や思いがあっての選択だったのでしょうね。ずっと愛していたと気づいたとき、そこにお互いがいてよかったです。
離婚後もふたりの縁が切れなかったのは娘たちの存在が大きいとは思いますが、ふたりの人生が再び重なったのは、リズとヴァンそれぞれが自分自身を見つめ直したからじゃないかなと感じてます。人間関係で何か問題が起きたとき、相手の嫌なところにこだわるのではなく、自分自身を客観的に顧みれる人は、人として成長できるような気がします。そう思ってても、できない自分が情けない…(-_-;)
さて、この物語で『モダン・ラブ』のシーズン2も終わりました。みなさんのお気に入りの物語は見つかったでしょうか?わたしは第2話の睡眠障害を抱えるゾーイの物語に心が揺さぶられました。生活する時間帯が違うふたりの物語におとぎ話をからめた作風もよかったし、子供ころから不眠症気味なのでゾーイに共感してしまいました。
全体的に振り返ると、シーズン1に比べると、若干、インパクト弱めのエピソードが多かったように感じてます。もしかしてパンデミックの影響もあったのかもしれませんが、“多様な愛”というテーマが“多様な恋愛”に置き換えられたかな?という印象です。シーズン3へ続くなら(ぜひ、続いて欲しいです!)シーズン1の第1話で描かれたドアマンと住人の立場や年齢を超えた友情のように幅広い意味での愛の物語を期待したいです。