NYタイムズの人気コラム『Modern Love』に掲載されたエッセーに基づく様々な“愛”の物語。
Episode8 The Race Grows Sweeter Near Its Final Lap
【ざっくりあらすじ】シーズン最終話
出会った日から、別れの時が近いことはわかっている。人生の浮き沈みを知っている年老いたマーゴとケンの恋は、ただ純粋に互いを愛し、人生の最終章に豊かな花を咲かせるものだった。
出会い
マーゴとケンの出会いはマラソン大会だった。ペース配分を考えず走るケンが最初から気になっていたマーゴは、バテ始めたケンに声をかけた。伴走するスタッフにからかわれながらも、走りぬいたことに満足している爽やかなケンに惹かれたマーゴは、ジョギング仲間に誘った。
親しくなったふたりはジョギングを楽しみ、ディナーをともにするようになる。しかし、ケンの心は36年連れ添った妻を亡くした6年前から前へ進んでいない。僕はのんびり屋だからと照れくさそうに話すケンの気持ちを受け入れたマーゴは、自分のペースで前へ進むケンに寄り添った。
素晴らしい日々
互いに惹かれあっていたふたりが恋に落ちるまで時間はかからなかった。ニューポートのマラソン大会に一緒に行くことになったマーゴをケンは同じ部屋で泊まろうと誘い、迷いのない気持ちをマーゴに伝えた。結婚したふたりは絵にかいたような幸せな老夫婦になった。文字通り、病めるときも健やかなるときも、ふたりの日々は愛に満ちたものだった。
ケンの葬儀の席で、マーゴはケンとの愛について語った。人生の浮き沈みを経験した老年の恋は、たとえ壊れたとしても乗り越えられると思っていたけど、今はそう思えないと話すマーゴの心にはケンを求める寂しさと、ふたりで過ごした幸せな思い出がある。
葬儀が終わり、ケンの思い出を抱え、NYの街を歩くマーゴに雨が降り注ぐ。ケンの愛に包まれるように、マーゴは雨の街を走り始めた。
雨のNY
同じ雨の中、NYの街角ではそれぞれの物語が紡がれていた。
思いがけない妊娠に動揺したマギーは、グズミンが言うように『大丈夫』という気持ちになれず、産婦人科の診察を受けた。クリニックの前には、傘を持つグズミンが待っている。「傘を届けただけ」と説明するグズミンに、マギーは「まさかお説教しに来たんじゃないでしょうね?」と反発するが、今回もグズミンは正しく、雨が降り出した。グズミンがマギーに差し出したドアマンの大きな傘は、グズミンの大きな愛情のようにマギーを守った。
カフェにいるジュリーを見かけたジョシュアは、再会を喜ぶ。エマとヨリを戻したと報告したジョシュアは、オフレコの約束を破りエマへの想いを記事にしたジュリーに感謝した。一方、ジュリーもジョシュアのデートアプリで見つけた男性を紹介する。置き去りにした恋にとらわれていたジュリーの背中を自分のアプリが押したことにジョシュアは感激した。
出産のためNYへ戻ったホームレスのカーラは、トビンとアンディの絆を気にしていた。ふたりのアパートまで送ってくれた友人は「不安なら子育てを手伝う」と言ってくれるが、カーラの願いは愛情ある家庭で子供が育つことだ。楽しそうに会話するトビンとアンディを見たカーラは、ふたりなら大丈夫と確信した。
雨のカフェでレキシーはシルヴィアと過ごし、テニスをしていたサラとデニスは雨を気にせずプレーを続ける。初デートの相手にすっぽかされ、雨宿りしていたロブは同じように雨宿りしているヤスミンと知り合った。マディの隣には同じ年ごろのボーイフレンドがいる。
今日もNYの街角で、それぞれの物語は続いている。
おちゃのま感想
シーズン1ラストエピソードは、マーゴとケンの精いっぱい愛しあった日々の物語と、これまで描かれた7つの物語とを織り交ぜ、同じNYの空の下、みんなそれぞれの人生を生きてるという素敵な演出がされてました。
恋する気持ちに年齢は関係なく、人生経験があるからといって、人を愛することに特別なものはないというマーゴの話に、じんわりと感動しています。人生のゴールが見え始めたふたりが出会い、幸せな時間を手に入れた物語は、年齢など関係なく多くの人の共感を呼んだことだと思います。
物語にリアルさを与えたマーゴのはつらつとした姿は美しかったです。マーゴを演じたジェーン・アレクサンダーさん(Jane Alexander)の80歳という年齢に驚いてしまう自分が恥ずかしくなります。この物語の基となったのはEve Pellさんが書いたエッセイで、マーゴが語るふたりの人生はほぼエッセイ通りとのこと。
『モダン・ラヴ』はシーズン2への更新が決まったので、どこかで誰かの物語の続きが見れたらいいな~と期待してしまうのですが、これはエッセイを基にした物語。なので、また別の誰かの人生の一コマを楽しみにしたいと思います。