舞台はスウェーデン、人質たてこもり事件・・・と聞けば、何やら陰惨な内容を想像してしまいますが、Netflixリミテッドシリーズの『不機嫌な人々』は見終わった後に心温かくなる人間ドラマです。全6話というコンパクトさにもかかわらず、深く練られた内容に感嘆させられた作品です。
原題:Folk med ångest(Anxious People )
『不機嫌な人々』のあらすじは・・・
まず『不機嫌な人々』のはじまりをざっくりご紹介します。
大晦日の前日。銀行強盗に失敗した犯人が内覧会中の部屋に逃げ込み、偶然、近くにいた警官親子のイム(父)とヤック(息子)が現場を仕切る。こんな大事件は手に負えないと判断した息子ヤックがストックホルム警察に応援を要請する一方で、勤続30年の父イムは犯人が要求したピザを自ら届け、犯人との意思疎通を図る。
ピザ配達から戻ったイムは犯人の指示に従い花火を打ち上げ、“花火を打ち上げたら人質を解放する”という約束通り、ほどなく人質たちは解放される。犯人逮捕にやっきになるヤックはさっそく人質たちから話を聞くが、人質たちの中に犯人の特徴を言える者はいなかった。
おちゃのまの注目
おすすめの理由はいくつかありますが、まず1話30分程度、全6話と短めにまとめられてる点は大きなポイントです。アメリカドラマに慣れているせいか、このシンプルさが妙に心地よいのです。
さらに、内容も展開も秀逸です。視点(主人公?)を捜査する側のヤックにすることで事件の謎的要素も盛り込み、ごくごくシンプルに立てこもり事件の真相を追いながら人質それぞれの事情を描き、やがてヤックの少年時代のにがい体験に繋がる・・・と、本当によく練られたストーリーになってます。
さて、注目してほしいキャラは、(言われなくとも注目してしまう人なんですが・・・)警官ヤック(息子)です。キョーレツな髪型から始まり、生真面目に捜査に取り組み、父を尊敬するヤックですが、依存症の妹を受け入れられずにいるんです。そんな頑固なヤックが事件を通し変化してゆく様子も見ごたえあるポイントです。
事件発生から人質解放までの第1話はコメディ調なのですが、わたしが感じたこのドラマで描きたかったテーマは様々な形の“愛”です。夫婦、恋人、家族、隣人への愛・・・さらに、他人を思いやる心の大切さが伝わってくる作品でした。偶然その場に居合わせただけの人々が繋がり、誰かを思いやることで自分も豊かになる。そんな深い味わいがある『不機嫌な人々』は、Netflixにて配信中です。
配信などの情報は記事作成時のものです