今月のピックアップは、イギリスドラマ『ライフ〜私たちの生きる道〜』を選びました。なんの予備知識もなく見たドラマですが、人間ドラマの秀逸さに感動するやら、考えさせられるやらで、心に響いた作品です。
ライフ〜私たちの生きる道〜
『ライフ』は同じアパートメントに暮らす4人の男女についての物語です。年齢も環境もまったく違ううえ、接点のない彼らですが、みな同様に抱えているのは“結婚”についての問題。葛藤し、苦悩し、どう選択し、どう乗り越えてゆくかの4人の姿を並行しながら全6話で描いています。
登場人物
この作品の要、主人公4人について、ざっくりとしたご紹介をしたいと思います。
ゲイル(アリソン・ステッドマン)
このアパートの大家さんでもあるゲイルは70歳になったばかりのおばあちゃん世代。学生時代の友人との偶然の再会から、50年連れ添った夫を客観的に見るようになり、この結婚に疑問を抱き、自分らしさについて考えるようになります。
ベル(ヴィクトリア・ハミルトン)
離婚し、人生立て直し中のベルはアルコールの問題を抱え、就職の面接も失敗続き。さらに精神疾患のある妹は娘の面倒を見れず、否応なしに思春期真っ只中の手のかかる姪を預かることになり、新たな恋もお預け状態。
※ベルは、『女医フォスター』に登場したアンナ・ベイカーと同一人物とのこと。そちらのドラマは視聴してないので詳細は分かりませんが、『女医フォスター』にて夫と別れたのち、こちらの部屋へ引っ越してきたという設定のようです。
デビッド(エイドリアン・レスター)
突然の事故で妻を亡くしたデビッドは魅力的な女性と出会っても、頭にあるのは妻のこと。妻が用事のないマンチェスターの街で亡くなったことがどうしても気になるデビッドは、妻の謎を探り始めます。
ハンナ(メリッサ・ジョンズ)
一夜限りの相手アンディとの間に授かった子を妊娠中のハンナは、婚約者とアンディとの微妙な三角関係に。旅から戻ったアンディと再会したハンナは子供の父親としてサポートするアンディを受け入れますが、子供の父親になるつもりの婚約者は面白くありません。
おちゃのまのポイント
さて、4人の中でも特に気になってしまう人は、主人公的な位置づけのゲイルです。50年という長い結婚生活を経て、夫の嫌な面を直視したゲイルの心の中は、想像しようと思ってもできるものではありません。きっと見て見ぬ振りをしたほうがラクだし、これまではそうして生きてきたんですよね。そんな一念発起したゲイルと、ステレオタイプの“亭主関白”として描かれている夫の進む道を、あれこれ考えながら観てほしいなと思います。
同じ屋根の下に暮らす4人の物語がちょっとずつ重なり、小さな接点が絆になり、これから結婚するハンナへのサポートに繋がってゆきます。人生ままならない事ばかり。日々に流されるように生きるばかりでなく、時には立ち止まってみるのも大切。そんな助言を感じるドラマです。