Episode1~2
“H5G9”という史上最悪のウイルスの蔓延と同時に、産まれてくる赤ちゃんはみな“ハイブリッド”と呼ばれる人間と動物のハーフになった。生物学者たちはウイルスとハイブリッドとの因果関係を調べるが、どちらが先かはわからないまま世界は“大崩壊”を迎え、ハイブリッド狩りが始まった。
ハイブリッドの少年
ウイルスが襲う世界に背を向け、広大なイエローストーン国立公園の奥深くにある小屋を住処にした男は、フェンスで囲まれたその場所で、鹿の角を持つ赤ん坊のガスを育て始める。赤ん坊だったガスが言葉を覚え、父を“パッバ”と呼ぶようになる。崩壊した世界と隔絶された森の中でのびやかに育つガスに、パッバは人間から隠れて暮らすことを教え、フェンスの外には決して行ってならないと言い聞かせる。
やがて、ガスが9歳の誕生日を迎えた頃、平穏だったパッバとガスの暮らしが一変する。“ハイブリッド”を狩るハンターがフェンスを見つけたのだ。ハンターたちに立ち向かったパッバは感染し、ガスは10歳の誕生日を前にひとりぼっちになってしまった。
パッバを亡くしたガスはフェンスの中での生活を続けるが、失敗続きのうえ、孤独も募る。そんな中、ガスはパッバが隠していた箱の中に女性の写真を発見する。死ぬ間際のパッバから“ママはバーディという名の人間”と聞いていたガスは、その女性がママだと確信し、写真に書かれている“コロラド”へ行くと決意する。
意気揚々と冒険の旅に出発したガスは、ビッグマンこと元アメフト選手のトミー・ジェパードと出会う。さっそくハンターに狙われたガスを助けたビッグマンは「お前みたいなガキは獲物だ」と教え、“ここにいろ”とクギを刺す。肌にハンターの印を刻みながらも、モラルがあると言うビッグマンは生活のアドバイスを残し立ち去るが、ママを捜すと決めたガスはビッグマンを追いかける。
コロラド行きを諦めないガスに辟易するビッグマンは、食料を求め入った観光案内所で隔離生活をしている親切な家族にガスを託すが、ハイブリッドを追うハンターたちの襲撃で、それも叶わなくなる。自分が危険を呼び寄せると悟ったガスはビッグマンとの別れを決意するが、ビッグマンは「次の町まで一緒に行く」と約束した。
医師シンの物語
医療の最前線で世界の崩壊を目の当たりにしたシンは医師を辞め、感染した妻ラニのために試験薬を密かに入手している。症状を抑えるだけのその薬のおかげで、ラニは10年も生きながらえているのだ。
薬の効果が切れたラニに感染者特有の症状である小指の震えが現れ、いつものように“リル・シェリフ医療センター”で密かに治療薬を開発している元同僚医師のもとへ向かったシンは、思いがけない事態に巻き込まれることになる。
おそらくステージ4のがんだと打ち明けた医師は「あなたに託すしかない」と言い、ラニに使ったすべての試験薬の詳細を記録したノートをシンに渡す。10年前、医療の現場で地獄を見たシンは断るが、元同僚医師は「妻のためなら何でもするあなたしかできない」と強引だった。
託されたノートを見たシンは、「恥ずべきこともやった」と言う元同僚医師の言葉の意味を理解する。僕にはできないと愕然とするシンの前には、感染者のラニがいた。
エイミーのいる場所
元の世界でセラピストだったエイミーは、自分は平凡な日常の籠の鳥だと感じていた。世界が崩壊し、エイミーの世界はさらに狭くなる。閉じこもった部屋から、ようやく外へ踏み出したエイミーは自分の居場所を発見する。
動物たちが逃げ出した“エセックス郡動物園”に移り住んだエイミーは、崩壊した外の世界と決別し、広い敷地で自給自足の生活を始める。新たな生活に満足していたエイミーは、ある日、動物園の前に捨てられたハイブリッドの赤ちゃんと出会った。
おちゃのま感想
トレーラーを観て、楽しみにしていたNetflixのSFドラマ『スイート・トゥース』です。現実とシンクロする部分は気持ちが沈んでしまうのですが、ハイブリッドの少年ガスの物語を追ってみたくなり、あらすじ記事にしながら楽しもうと思います。
観る者の心をつかむテッパンの設定ともいえる少年ガスと訳アリらしい頼れる存在ビッグマンの物語と、極秘の試験薬で感染した妻を守る元医師のシンの物語、世界崩壊で自分の居場所を見つけたエイミーの物語の3つが同時進行する形で描かれてます。接点のないこの3つの物語が繋がる流れになると思うのですが、それはまだ先のお話のようです。
ガスの少年らしい無邪気で好奇心いっぱいの表情や、あの可愛らしい耳の動きから、ファンタジー色の強い作品と思い込んでたのですが、まったく違うっ。このドラマの世界観は非常にダークです。ドラマの根底にあるテーマは重いもので、人間性を問いかけられてる気がします。
ところで、ガスが鹿のハイブリッドというのには意味があるのでしょうか。ハンターたちも鹿は初めて見たと言っていたし、貴重な存在みたいですよね。そういえば、ハリー(『ハリー・ポッター』)のパトローナスも牡鹿でしたよね~。何か大きな存在を示唆してるのかな?
さて、冒頭から存在感を示していたシン医師は、妻のために信条に背く道へ進みそうです。感じたことすべてを書けないけれど、このドラマ、すごく奥が深いです。