NYタイムズの人気コラム『Modern Love』に掲載されたエッセーに基づく様々な“愛”の物語。
Episode5 At the Hospital, an Interlude of Clarity
【ざっくりあらすじ】
2回目のデート。まだ互いを知らないロブとヤスミンは『質問ゲーム』を楽しんでいる。引っ越したばかりの部屋へヤスミンを招待したロブは、夢のような新生活の始まりに思えた。
デート中のハプニング
SNSに夢中のヤスミンが写真をアップしてる間、手持無沙汰のロブは片付けを始め、立てかけてあるマットレスを敷いた。ヤスミンに下心を疑われてしまったロブは「そういう男もいるけど、僕は違う」と取り繕う。“夢の新生活”に乾杯したふたりはソファーに座るが、マットレスが目に入ってしまう。「もう僕からは誘えない」と言うロブに、ヤスミンはキスをした。
期待以上の展開になったロブに予想もできないことが起きる。はずみでソファーから落ちたロブの腕にはグラスの破片が突き刺さる。ロブの腕から血がしたたり落ち、こうして甘い時間は終わってしまったのだ。
救急車を呼んだふたりは大慌て。ロブに服を着せるヤスミンも下着姿だ。救急車で病院へ向かうロブに、ヤスミンも付き添った。動揺しているロブは手順に従い質問する救命士に必要以上に説明を続け、ヤスミンは「少し黙ったら?」と止める。病院に着いてもヤスミンは帰らず、手術室に向かうロブの貴重品を預かった。
意識の戻ったロブのそばにはヤスミンがいた。手術の成功を知らせた看護師によると、退院は6時間後だ。「帰っていいよ」と声をかけたロブに、「帰るわけないじゃない」と返事したヤスミンに迷いはなかった。
2度目のデートの第2幕
SNSでデートの様子を実況していたヤスミンは、第2幕を始める。ロブの手術はふたりのデートの“幕間”だ。
『質問ゲーム』を再開したふたりは、第1幕とは違い、互いの内面を探るようになる。救命士や看護師の手順に沿った質問は、ゲームでは知ることのないロブの一面をヤスミンに教えていた。そんなわけで、ヤスミンはロブが抗不安薬と抗うつ剤を服用していると知っている。一番恐れている事実をすでに承知しているヤスミンに、ロブは「霧にのみこまれるような感覚に陥り、自分が強制終了して機能しなくなるときがある」と打ち明けた。ヤスミンはロブの話を真摯に受け止めた。
一方、ヤスミンも自分について話した。亡くなった父のこと、数週間前に別れた恋人のこと。そして、常に感じる『目立ちたい』という欲望について。すれ違うだけの相手にも媚びを売るヤスミンは、“サイテー”な自分はデート相手にはよくても長続きしないと感じているのだ。
自然のままで
朝になり、ヤスミンはロブの着替えを部屋へ取りに行き、退院するロブに付き添った。深い話を打ち明けあったふたりの間に垣根はなく、ロブの前でヤスミンは自然体になる。公園のベンチでのんびりと朝食を食べるヤスミンは「こういう時間もいいと思わない?」と言い、殺人現場のように血まみれになったロブの部屋の掃除を手伝うと約束した。
別れの時間を先延ばしにしたいロブに、「もちろん」と応じたヤスミンは、ロブの膝枕で横になる。長い付き合いになっても、そうでなくても、この一夜は大切な思い出だと告白するロブの声を聞きながら、ヤスミンは眠りに落ちた。
おちゃのま感想
最初のシーンから最後まで、ヤスミンの眉毛に視線くぎ付けでした。ヤスミン自身の外見と内面の違いを描きたかったのか、はたまた実際の“ヤスミン”に似せたのか、単に自然なのか・・・いずれにしても、物語に入り込む前に気になってしまいました(;^ω^)
ふたりのその後は描かれませんでしたが、伝えたかったことは、2度目のデート相手と忘れられない一夜を過ごしたロブの『もう少しこのまま一緒にいたい』とその瞬間感じた、切ないくらい純粋な思い…じゃないかな?とんでもないハプニングだったけど、この日、ロブがヤスミンに感じたものは、大切な心の宝物になったんだと思います。
語り手はロブなので、ヤスミンの気持ちは想像するしかないんですが、入院したロブに一晩付き合ったヤスミンがコンタクトをはずしてメガネ姿になったところは、大きなポイントのような気がします。これは余韻が素敵な物語でした。