今月はお気に入りドラマ、『宇宙探査艦オーヴィル』をピックアップします。
セス・マクファーレンが制作&主演を務めるこのドラマは、『スタートレック』への敬意を表した作品で、スタートレックのパロディ要素もあるとのこと。『スタートレック』を見てない(むしろ、まったく知らない)自分としては、楽しめるかな?という疑問を感じつつの視聴だったのですが、正直、ハマってしまいました。
スタートレックのパロディといっても、その内容は大真面目。笑いあり、風刺あり、感動あり、そして深く考えさせられたりもする(宇宙規模の)人間ドラマを重視したSFアドベンチャーコメディになってます。
ドラマの舞台は、タイトル通り”宇宙探査艦オーヴィル”です。地球を含めた惑星同盟の中級探査船オーヴィルで働く多種多様な乗組員の日常や冒険を、ときにコミカルに、ときにシリアスに描くこのドラマの主人公は艦長エド。物語の始まりは、妻の浮気が原因で離婚し、傷心のエドに念願の仕事が舞い込むところから。エドを支える副官は浮気した元妻のケリーという気まずい設定なのですが、エド&ケリーを中心に信頼と絆で結ばれたオーヴィルの個性的な乗組員たちはまるでひとつの家族のようで、不思議な温かさに心が和むドラマです。
そんな温かな雰囲気も素敵なドラマですが、オススメしたい理由はコメディとは思えないテーマが盛り込まれ、見応えある物語が語られているからです。風習も思想も違う相手を受け入れる寛容さ、人権、LGBTQ、愛とは・・・など、難しい問題のテーマをオーヴィルらしい世界観で描くことでハードルを下げ、ドラマを楽しませながら問題提起している点は素晴らしいなと感じます。特に、『The Orville: New Horizons』というサブタイトルがついたシーズン3では、各エピソード1時間超えという長さで伝えたいテーマを深く掘り下げ、1話ごと立ち止まって考えたくなる内容の濃さでした。
さて、多種多様な乗組員の中でも、要注目はモクラン星人のボータスです。
年に1回しか排尿しないことや、なんでも食べてしまう(金属も)ことなど、不思議なモクラン人の生態や風習は同僚の乗組員たちも興味津々。コメディ的なネタとして取り上げられることが多いモクラン人ですが、男性社会(男性しか存在できない)という根深い問題もあり、平等を重視する宇宙探査艦で働くボータスの物語は見逃せません。
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