今月はデンマークドラマ、『コペンハーゲン/権力と栄光』をピックアップします。北欧ドラマに手を伸ばしながらも記事にするのはこれが初めて。しかも、北欧ドラマの真髄ともいえるサスペンスやミステリ系ではなく、政治の世界を描く硬派な内容の作品で、我ながら挑戦的な選択をしてみました。
2010〜13年にシーズン1〜3まで制作された『コペンハーゲン』のシーズン4となる『コペンハーゲン/権力と栄光』は、現在Nerflixにて配信中の作品です。(スーパードラマTVさんで放送された『コペンハーゲン』シーズン1〜3は、『BORGEN』のタイトルでNetflixで配信中)
シーズン1〜2ではデンマーク初の女性首相となったビアギッテ・ニュボーの政治手腕と妻・母としての葛藤を描き、シーズン3では政界を離れていたビアギッテが信念を共にする仲間たちと新党を結成してゆく様が描かれました。
時は流れ、シーズン4で描かれるビアギッテは、シーズン1〜3で見てきたビアギッテとはちょっと違います。約10年の時間を経ての新シーズンでは、長く政界にいることで変化したビアギッテの政治家としての姿を赤裸々に描いています。さらに、大きなテーマとして取り上げられたグリーンランドのエネルギー問題は、まるで現実社会の政治の駆け引きのようで、外務大臣ビアギッテの選択が見どころになってます。
そして、『コペンハーゲン/権力と栄光』での隠れキーワードともいえる、SNSの問題。政治理念や主義主張よりもランチの写真が支持率に繋がる時代。ビアギッテだけでなく、シーズン1〜2ではTV1の人気キャスター、シーズン3では新党を立ち上げるビアギッテのスタッフを務めたカトリーネもSNSに翻弄されてゆきます。立場は違えど、かつて理想主義者だったビアギッテとカトリーネが自身の信念と向き合い、苦悩する姿は考えさせられるものがあります。
シーズン4の『コペンハーゲン/権力と栄光』だけを見ても、楽しめる内容になっていますが、シーズン1〜3の紆余曲折を把握したうえでの視聴をオススメしたいです。見終わった後にビアギッテの「タック」(デンマーク語のありがとう)の声と、あの笑顔が恋しくなる。そんな魅力あるドラマです。
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