イッキ見する面白さだったNetflixの政治スリラー『ザ・ディプロマット』をピックアップします。
『ジ・アメリカンズ』と『HOMELAND』にインスピレーションを受けたという『ザ・ディプロマット』は、テンポよい展開の中に、緊迫する世界情勢、ケイトとハルの夫婦関係、それぞれの政権の思惑・・・と、多数のストーリーが詰め込まれた濃厚さ。クライマックスまでノンストップで突き進みながらも、一息つかせるサイドストーリーも忘れておりません。
ざっくりとしたあらすじは・・・『イギリス空母が攻撃され41人が犠牲になる事件が起き、第三次世界大戦を回避すべくアメリカ大統領はキャリア外交官のケイト・ワイラーを駐英大使に任命する。アフガニスタンへ赴く予定だったケイトは納得しないながらも、離婚間近な夫ハルを伴いイギリスに渡る。イラクの仕業だと決めつけるイギリス首相相手にケイトが奔走する一方で、独善的な行動で失墜した元キャリア外交官のハルは独自のルートで暗躍する』・・・というもの。
メインテーマでもある、第三次世界大戦を回避させたいケイトの忖度しない手腕も見どころですが、わたしがオススメしたい注目ポイントはケイトとハルの夫婦の物語です。離婚間近ながら、ケイトと共にイギリスに赴いた失墜したキャリア外交官ハルの立ち位置は“大使の夫”。その立場を受け入れている様子でありながら裏で画策するハルは、まさにタヌキおやじ。飄々とした表情から考えや感情を読み解くことは難しく、大使館のスタッフだけでなく、ケイトまでも操る策士なのです。
ケイトとハルの関係で、重要なのが“離婚間近”という点。離婚は決定事項なのに、ふたりの間に冷めきったものは感じられず、むしろ互いへの愛情も垣間見え、わたしの陳腐な想像力では答えが見つからない不可解さでした。主人公ケイトは『ジ・アメリカンズ』でソ連のスパイを演じたケリー・ラッセル。ハル役は『高い城の男』でナチスドイツに占領されたアメリカで台頭する親衛隊大将スミスを演じたルーファス・シーウェル。相性抜群のふたりが、あっという間に『ザ・ディプロマット』の世界観に視聴者を引き込んでくれます。
満足度の高いこのドラマのマイナスポイントを挙げるとすればジリジリする気持ちにさせられたラストくらいでしたが、シーズン2へ更新が決まりました!期待値を上げながら、シーズン2を待ちたいドラマです。